「工務店選定のチェックポイント」
「良い工務店を選ぶにはどうしたらいいでしょうか?」
お施主さまとのお話しの中で、特によく質問されます。そこで、私たち[近藤晃弘建築都市設計事務所]による工務店の選定について記載したいと思います。
はじめに、工務店の選定によって、出来上がりの住まいの品質は大きく影響します。私たち設計事務所としても慎重に時間をかけて検討しています。特に性能面の確保を前提とした場合、ただ安いだけの工務店に発注するのはとても危険です。
設計事務所をやっているとよく分かるのですが、工務店のレベルはピンからキリまであります。ものづくりが好きで、仕事に誇りを持ち、設計図の重要な部分をしっかり読み取り、正確で美しい仕事をしてくれるところもあれば、何度注意しても設計図に目を通さなかったり、間違った施工をしてしまったり、設計図と違う製品を発注したりするようなところもあったりします。
そのため私たちの工務店の選定は
1. 性能面で全面的に信頼がおけること
2. コストコントロール能力があること
3. 保証・メンテナンスなどを重要視していること
4. 担当者・現場監督の人柄
などをチェックしています。
基本的に設計事務所に依頼して住まいをつくる場合は、工務店の選定に関してアドバイスが得られます。それを参考にして工務店を選ぶのが一番良いと思います。設計事務所は数多くの工務店の工事を監理し、色々な職人の仕事を見ています。また、同業者の仲間から工務店についての良い噂も、悪い噂も入ってきます。ですので、建築家は良い工務店を選定する方法について経験上、最もよく知っています。
「1. 性能面で全面的に信頼がおけること」
工務店を選ぶ時に最も重要なのは、やはり確実な施工をしてくれるところです。設計・施工レベルの高い家を施工した実績があり、施主や建築家の評判が良いというのは大切です。
工務店選定の際には、実際に施工物件を見せていただいたり、誰が担当者で工事現場の監督になるのか?というところまで確認して、担当者と色々な話をします。そうすることで、施工者の知識、技術、判断力、人柄を確認できます。建築というのは、設計者×現場監督×職人のコラボレートによってつくられていくものなので、それぞれの担当者個人の能力が高くないと、なかなか良い建築はできません。
また、工務店はそれぞれ得意としている分野があります。ハウスメーカーの住宅や建て売り住宅の施工を得意としている工務店に注文住宅を依頼するのは、仕事の内容や進め方が違うので無理があります。ですので、得意分野や適性を見極めることも大切です。
「2. コストコントロール能力があること」
工事金額については、安いことも重要ですが、それよりももっと大切なのは、見積書の内容がしっかりしているか?見落としや、いい加減な数量を入れていないか?という点です。見積書は、工事契約の前に取るものなので、良い判断の材料になります。
見積書というのは、ただ単に工事の金額が書いてあるだけで無く、どういう工程で、どういう種類の工事をするのか?ということも読み取ることが出来ます。そこで、工事全体を事前に把握する能力や、段取りの良さが分かります。また、見落としが沢山あると、当然金額は安くなりますが、工事の後半になってくると資金繰りが段々苦しくなってくるので、手抜き工事のきっかけにもなります。結果、仕上がりの品質が非常に悪くなり、最初は安いと思っても、後々困ることになります。
安く良い家を手に入れるということは、適切な工事内容で安く施工してもらう。ということであって、何でも良いから安くしてもらえれば良いといのとは違います。この点のバランスの判断とアドバイスが出来るのも、設計事務所を通して家をつくるときの大きなメリットです。
「3. 保証・メンテナンスなどを重要視していること」
後々も面倒を見てくれるという安心感も大切です。保証やメンテナンスについては、契約前にきちんと確認しておくことが大切です。どの程度の頻度で点検にきてくれるのか、保証の内容・範囲・金額の確認は必ず行います。保証やメンテナンスの種類についてはこちらをご覧ください。
「4. 担当者・現場監督の人柄」
担当者・現場監督の人柄というのもとても大切だと考えています。経験則がすべてではないですが、話が非常に上手い人や自分の仕事をやたらと自慢する人は注意します。こういうタイプを、業界では口で仕事をする人、と言います。仕事は、行動で示すものであって、職人気質で無口でも良いので、しっかり丁寧に仕事をしてくれる人の方が良いと思います。