建築条件付き土地とは?

建築条件付き土地とは、その土地の売主が指定する建築業者(工務店やハウスメーカー)により、その敷地に住宅を新築することを条件として購入できる土地です。土地探しを実際にされたことのある方は一度は聞いたことのある言葉だと思います。

土地の売主が指定する建築業者は、売主そのものか、そのグループ会社ということが多く、土地の売買による利益のほかに建物の請負工事においても利益を得るために、このような建築条件を付けます。

 

建築条件付き土地 購入時の3つの注意点

 

「1. フリープランの注意点」

建築条件付き土地の場合、その土地に新築する住宅は「フリープラン」と広告が出されていて、注文住宅であるとイメージされている方も多いようです。実際に設計の自由度が高く、注文住宅と言えるものもありますが、そのほとんどは業者の都合で制約を受けてしまい、自由なプランができないものが多いようです。

間取りがいくつかのプランからの選択になっていたり、簡単なプラン変更しかできなかったりすることがあります。また、仕様が既に決められていたり、仕様変更ができたとしても、追加費用が実際にかかる費用とかけ離れていたりすることがあります。

間取りや仕様にどんな制約があるか、個々にしっかり確認してから購入を判断しましょう。

 

「2. 施工管理・品質管理の注意点」

建築条件付き土地といっても建売住宅と変わらないものが多いため、建築業者の施工監理(工事監理)が非常に甘いケースがあります。その結果、新築工事の品質が低くなり、施工ミス・欠陥などのトラブルが生まれることがあります。

建築、施工品質といった面で安心を得たいのであれば、第三者の住宅検査を建築中に入れることでをおすすめします。

 

「3. 契約時の注意点」

建築条件付き土地の契約は、まず、土地の売買契約を行います。その後、住まいのプランや仕様が決まった段階で、施工会社と建築工事請負契約を行います。このときに、「買主と売主が建物のプランで合意できない場合は土地の売買契約を白紙にしましょう」という内容にしておくべきです。これが正しいやり方です。

でも、土地の売買の際に、土地と建物の両方の売買契約を結ぼうとする不動産会社があります。これはとても危険です。まだプランも仕様も決まっていない建物の契約を行おうとするのです。こういう不動産会社は信頼できないので、いくら土地が気にいっていたとしても諦める勇気も必要です。

 

どうやって依頼先の選定すればよいか?

住まいづくりにおいては依頼先はとても重要です。依頼した金額が同じでも依頼先の能力次第で、完成する住まいは全く別物になるからです。第三者のチェックが入る方が、住まいの質は高くなるので望ましく、そういう意味では建築家のように設計と施工を分離して、コストと性能を確保するのが理想です。また、ハウスメーカーや工務店のように設計施工が一体の場合でも、広さや、性能、価格や構造、品質管理や保証はどうかと、総合的に比較検討して依頼先を決めるのが良いと思います。建築主は基本的に 住まいについての知識が乏しいわけなので、この比較検討の作業を通して最適なパートナーや、最適な作り方を考えることがとても重要です。

 

ところが、建築条件付き土地の場合は、設計者施工者は自動的に決まります。言い方は悪いのですが競争原理が働かないので、性能が低く、魅力のない建物しかつくることのできない出来の悪い業者でも、建築条件付き土地であれば仕事を確保できます。価格も、工法も、使う材料も全て業者に都合のいいように決まっています。保証や性能は最低限のものと考えておいた方が良いと思います。

 

建築条件付き土地の住宅では、「じゃあ、他で頼みます」という捨て台詞が使えません。はじめての住まいづくりをするときに、知識が十分にない建築主の方でも「比較検討する」ことはできますが、建築条件付き土地のレールにのったら、他と比較検討することは意味を持たなくなります。選択の可能性を絶つということは、建築主の最大の権利を放棄したに等しいのではないでしょうか。
これから、依頼先を考えるという方にはその辺も含めて検討いただきたいと思います。